2025-09-30
【症例】耳鳴りで仕事に集中できない、眠れない
耳鳴りに悩まされると、日中の集中力も夜の眠りも大きく削がれてしまいます。
今回ご紹介するのは「耳鳴りのせいで仕事に集中できない」「夜、眠れないことがある」というお悩みを抱えた60代の男性の症例です。
長年運動を続けてきた方でしたが、体を酷使してきた影響で首や顎まわりの筋肉が固まり、それが耳に大きく関わっていました。鍼灸で体の緊張を丁寧に緩めることで、耳鳴りの音が日常生活に支障のないレベルにまで落ち着いていった経過をご紹介します。
患者
60代 男性
来院
2020年11月
症状
•耳鳴り
•仕事に集中できない
•夜眠る時にうるさくて眠れないことがある
症状が出た経緯
若いころから趣味で運動を続けてきたが、年齢とともに無理を重ねることが増え、自覚的に「体を酷使している」と感じていた。あるとき運動を強くやりすぎたことをきっかけに耳鳴りが出現。少しでも改善できないかと来院された。
治療内容
耳鳴りが出て数年が経過していたため、改善は難しい傾向があることを説明。しかし、1日の中で耳鳴りの大きさが変動する(強い日と弱い日がある)ことから、改善の余地はあると判断し施術を開始。
1〜4診目
体を確認すると、胸鎖乳突筋や頚骨付近の筋肉の硬さが特に強い。この2点は耳の症状に大きく影響するため、重点的に緩めていく方針をとった。週1回の施術で、少しずつ眠れる日が増え、日によっては耳の調子が良いと感じることも。3診目には週3〜4日は耳の調子が良い状態が続いた。
4診目終了時、思ったよりも調子が良いとのことで一旦終了。何かあれば再来していただくようお伝えした。
再来後 1〜9診目
3か月後、再び調子が悪化し再来。再度体を確認すると、やはり顎関節付近の緊張が目立ち、食いしばりの影響も考えられた。また、運動後に耳鳴りが強くなることもあり、反応の強いふくらはぎの筋肉も緩めることに。週1回の施術を継続したところ、7診目前後には週3〜4日は良好、8診目には耳鳴りが全くしない日も出てきた。9診目終了時も調子は安定していた。
主に使用したツボ
合谷、外谷、曲泉、陽輔
まとめ
時間が経過していたため改善の可能性は未知数だったが、首や顎の筋肉の強い緊張を緩めたことが大きく影響したと考えられる。耳鳴りが完全になくなったわけではないが、仕事や睡眠に支障が出ない程度にまで小さくなり、ご本人も「これなら安心して過ごせる」と喜ばれていた。こちらとしても一安心できた症例であった。
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