2025-09-30
【症例】1年前に発症した左耳の難聴と耳鳴り
患者さんについて
•50代 女性
•来院:2019年12月
発症の経緯と症状
1年前に突発性難聴と診断され、病院で点滴や薬の治療を受けられました。
しかし、残念ながら思うような回復はなく、その後は漢方なども試されましたが、大きな変化はありませんでした。
特に悩まれていたのは「耳鳴りの音の大きさ」です。
耳鳴りが強いときは、他の音がほとんど聞こえないほど。
そのため夜もぐっすり眠ることができず、導入剤を使ってなんとか休んでいる状態でした。
「少しでも耳鳴りが小さくなってくれれば…」
「会話や睡眠が楽になれば…」
そんな思いで当院に来られました。
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治療の流れ
初回
最初にお伝えしたのは「1年前の発症なので、効果が出るかどうかは実際にやってみないと分からない」ということ。
それでも「少しでも改善の可能性があるなら…」と、前向きな気持ちで治療を始めることになりました。
触診すると、側頸部・胸鎖乳突筋・顎関節周囲に強い緊張がありました。
まずは背中のツボに鍼をして首の緊張をゆるめ、次に手のツボで胸鎖乳突筋を、さらにお腹や膝の内側・スネのツボも使って全体を整えていきました。
1〜2診目
治療後から高い音の耳鳴りが聞こえるようになり、天気の悪い日には耳のこもった感じが強くなるなど波がありましたが、大きな悪化はなく治療を続けました。
3〜4診目
耳鳴りがさらに大きくなり、不安から少しパニックになることもありました。
同時に首や肩のコリ感も強く出ましたが、顎関節や首の緊張を緩める治療を継続しました。
5診目
嘘のように症状が楽になり、首や肩のコリは大きく減少。
耳鳴りも静かな場所であれば聞こえる程度まで小さくなってきました。
6〜8診目
治療を重ねることでつまり感が減り、聞き取りやすさも改善。
夜寝る前にわずかに聞こえる程度の耳鳴りとなり、以前に比べて気にならなくなりました。
現在も治療を継続中です。
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主に使用したツボ
•外丘(L)
•大腸(L)
•四隅(L)
•曲泉(L)
•三陰交(L)
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まとめ
今回の患者さんは「1年前に発症した突発性難聴と耳鳴り」で、当初は改善が難しいかもしれないとお伝えしました。
しかし治療を重ねることで、少なくとも耳鳴りが小さくなるという効果が感じられ、睡眠の質や日常生活にも安心感が出てきました。
難聴や耳鳴りの治療では、回復途中で一時的に耳鳴りが大きくなることがあります。
そのため「悪化してしまったのでは…」と焦る方も多いのですが、治療の過程として起こることがあるため、しっかりと説明して進めることが大切です。
耳の症状は「もう治らない」と諦めてしまう方が多いですが、時間が経っていても改善の可能性は残されています。
大切なのは、耳だけでなく全身を見ながらアプローチをしていくこと。
同じように悩まれている方に、少しでも希望を持っていただければと思います。
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※結果には個人差があり、すべての方に同じ効果を保証するものではありません。
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